ホームページ制作に補助金は使える?富士市の中小企業向けに現行制度を整理しました

はじめに

「補助金を使ってホームページを作れませんか?」

Web制作の相談を受けていると、この質問は本当によく出てきます。結論から言うと、使える補助金はあります。ただし「どの補助金でも使える」わけではなく、制度ごとに向き不向きがはっきり分かれています。

実は私自身、補助金が関わる開発案件を何度か経験してきました。以前はIT導入補助金(現在は名称が変わっています)を使ったプラットフォーム開発を支援しましたし、今まさに静岡県の補助金を使ったシステム開発を進めているところです。補助金案件を作る側として見てきた立場から、「使える制度・使えない制度」の線引きを正直に整理します。

この記事のまとめ

  • ホームページ制作に正面から使えるのは「小規模事業者持続化補助金」。ただしウェブサイト関連費は上限30万円(税込)で、それだけでの申請はできない
  • 「IT導入補助金でホームページを作る」は誤解。2026年度からは名称も「デジタル化・AI導入補助金」に変わった
  • システム開発やDXが目的なら、国だけでなく静岡県・富士市の制度にも選択肢がある
  • 補助金は交付決定前の発注NG・締切厳守などルールが厳格。スケジュールの逆算が欠かせない

なお、本記事は2026年7月23日時点の公開情報(小規模事業者持続化補助金 第20回公募要領 第8版など)に基づいています。補助金制度は毎年変わります。申請を検討する際は、必ず各制度の公式サイトで最新情報を確認してください。

ホームページ制作に使える補助金はどれ?

会社案内や販路開拓のためのホームページ制作なら、本命は小規模事業者持続化補助金です。目的別に現行制度を整理すると、次のようになります。

目的制度補助率・上限2026年7月時点の状況
ホームページ・ECサイトの制作、リニューアル小規模事業者持続化補助金(第20回)2/3・上限50万円 ※Web関連費は30万円まで受付は11月5日から
業務システム・ITツールの導入デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)1/2以内・最大450万円受付中(1次締切8月25日)
デジタル技術を使った新サービス・システム開発静岡県の収益力向上補助金(DX推進枠)1/2以内・上限700万円令和8年度の公募は終了
業務効率化のためのソフト導入・システム開発富士市のDX推進補助金1/2以内・上限50万円予算残りわずか

どれに当てはまるかを判断する軸はシンプルです。販路開拓のためのホームページを作りたいのか、業務のためのシステムを作りたいのか。前者なら持続化補助金、後者ならそれ以外の3つが候補になります。順番に見ていきましょう。

小規模事業者持続化補助金でホームページを作るには

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら経営計画を策定して取り組む販路開拓を国が支援する制度です。経費区分に「ウェブサイト関連費」が明記されており、ホームページやECサイトの制作・リニューアルに正面から使える数少ない補助金です。

対象となる「小規模事業者」かどうかは従業員数で決まります。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が5人以下、製造業その他は20人以下。富士市の町工場や商店、小さな事務所の多くが該当するはずです。

第20回のスケジュールと補助額

現在公募中の第20回は、次のスケジュールです。

  • 申請受付開始:2026年11月5日(木)
  • 申請受付締切:2026年12月15日(火)17
  • 事業支援計画書(様式4)の発行受付締切:2026年12月4日(金)

補助率は2/3、補助上限は50万円。インボイス発行事業者への転換で50万円、賃金引上げに取り組む場合は150万円が上乗せされる特例もあります。申請は電子申請のみです。

ここで注意したいのが3つ目の「様式4」です。これは商工会議所などが発行する書類で、発行締切は申請締切より早い12月4日。しかも締切を過ぎた発行依頼は、理由を問わず受け付けてもらえません。「11月に思い立って書類を書き始める」のでは間に合わないおそれがあります。経営計画の作成にも時間がかかるので、動くなら夏から秋のうちです。

ウェブサイト関連費のルールは第20回で変わった

ウェブサイト関連費には、知っておくべきルールが2つあります。

1つ目は、ウェブサイト関連費だけでは申請できないこと。チラシなどの広報費、展示会出展費といった他の経費と組み合わせる必要があります。

2つ目は、ウェブサイト関連費として申請できる額は30万円(税込)が上限であること。ここは第20回で変わった点で、第19回までは「補助金交付申請額の1/4(最大50万円)まで」というルールでした。1/4の縛りがなくなって計算は分かりやすくなった一方、上限額そのものは50万円から30万円に下がっています。ネットには「制限が撤廃された」とだけ書いている解説も見かけますが、正確には「制限の形が変わり、上限は下がった」です。

細かい話では、50万円(税抜)以上かけて作成・更新したウェブサイトは「処分制限財産」となり、通常5年間は補助金事務局の承認なしに処分できないという規定もあります。この種の制度の細部は、公募要領を読み込むか、後述の窓口で確認するのが確実です。

ところで、上限30万円という数字を見て「その予算でどこまで作れるのか」と気になった方もいるのではないでしょうか。制作費の内訳と相場観はホームページリニューアルの費用相場と見積もり内訳、予算の組み方で解説しています。補助を前提にするかどうかに関わらず、先に相場を知っておくと計画が立てやすくなります。

富士市の申請窓口はどこ?

持続化補助金の申請には、地域の商工会議所または商工会が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要です。富士市の場合、多くの事業者は富士商工会議所が窓口になります。ただし市内でも鷹岡地区・富士川地区の事業者は富士市商工会の管轄で、申請先の補助金事務局も別系統です。自分の事業所がどちらの管轄か分からない場合は、先に電話で確認しておきましょう。

制度全体の公式情報は商工会議所地区の補助金事務局サイトにまとまっています。

IT導入補助金でホームページは作れる?

作れません。ここは誤解している方が非常に多いところです。

そもそも2026年度から、旧「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金2026」(正式名称:中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金)に名称が変わりました。この補助金で対象になるのは、事務局に登録された「ITツール」だけです。会計ソフトや生産管理システムのような業務プロセスを持つソフトウェアが対象で、ホームページ制作やサイト制作はツール登録の対象外と要領に明記されています。申請も、事務局に登録された「IT導入支援事業者」と連携して行う仕組みで、好きな制作会社に発注してよいわけではありません。

では、なぜ「IT導入補助金でホームページを」という誤解が生まれるのでしょうか。「IT」という言葉の広さに加えて、かつてECサイト制作が対象だった時期がある(2023年までの旧デジタル化基盤導入枠。2024年以降は対象外)ことが影響していると私は見ています。

実際、私はこの補助金(当時はIT導入補助金)を使った開発をこれまで何度も支援してきました。例えば、士業の方のスクール運営プラットフォームや、化粧品のサブスクリプション機能を組み込んだECサイト。いずれも「見せるためのホームページ」ではなく「業務の仕組みを持つシステム」だったから対象になった、という点が本質です。単なる会社案内サイトをこの補助金で作ることは、当時もできませんでした。

現行の通常枠は、補助率1/2以内(一定の賃上げ要件を満たす事業者は2/3以内)、補助額は導入するツールが持つ業務プロセス数に応じて最大450万円。2026年は交付申請の受付が始まっており、1次締切は8月25日です。業務システムの導入を考えているなら、公式サイトで登録済みツールを確認してみてください。

システム開発・DXに使える県と市の補助金

「ホームページ」から少し視野を広げて、業務システムの開発や新サービスのデジタル化まで含めると、静岡県と富士市にも制度があります。

静岡県の収益力向上補助金

静岡県の中小企業等収益力向上(賃上げ環境整備)事業費補助金は、県内中小企業の新商品・新サービス開発などを支援する制度です。デジタル技術を活用した開発を対象とするDX推進枠があり、補助上限はDX推進枠で700万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円)、補助率は1/2以内(同2/3以内)。委託・外注費が対象経費に含まれるため、システム開発の外注にも使えます。商工会議所など商工団体の伴走支援を受けることが申請の要件です。

実は今、私が開発を進めている案件のひとつが、まさにこの補助金のDX推進枠を使ったものです。伴走支援を受けながら計画を固め、採択後に開発をスタートするという流れを、作る側の立場で経験しています。

注意点として、令和8年度の公募(1次:4月1日〜5月15日、2次:6月1日〜6月30日)はすでに終了しています。例年どおりなら、次の機会は来年度の春。裏を返せば、来年度を狙うなら年明けには構想を固めておきたいところです。システム開発は補助金のあるなしに関わらず事前の整理が命なので、検討中の方はシステム開発を依頼する前に整理しておくと、話がスムーズに進むことを先に読んでおくことをおすすめします。

富士市のDX推進補助金

富士市独自の制度として、中小企業等DX推進事業支援補助金があります。業務の効率化・生産性の向上を目的としたソフトウェアの導入やシステム開発(既製品のカスタマイズを含む)が対象で、補助率1/2以内・上限50万円。市内に本社または主たる事業所があること、地域産業支援センターや商工会議所といった支援機関の支援を受けることなどが要件です。

対象として想定されているのは生産工程管理や販売管理、会計などの業務システムで、会社案内のようなホームページ制作は対象外と考えたほうがよいでしょう。判断に迷うケースは、富士市産業支援課(電話:0545-52-6783)に事前に確認してください。

もうひとつ、現実的な注意があります。2026年7月時点で市の公式ページに「予算残額が残りわずか」と明記されており、先着方式のため申請額が予算上限に達し次第、受付終了となります。今年度の利用は難しいかもしれませんが、来年度に同種の制度が出るか、市の情報を見ておく価値はあります。

補助金でホームページを作るときの注意点

最後に、補助金案件を作る側として経験してきた立場から、つまずきやすいポイントを挙げておきます。

交付決定前に契約・発注しない。補助金の多くは、交付決定日より前に契約・発注した経費を対象外としています。「採択されそうだから先に始めてしまおう」は、補助金がまるごと受け取れなくなる典型的な失敗です。制作会社への正式発注は、必ず交付決定を待ってから。

採択ありきの計画にしない。補助金には審査があり、落ちることも普通にあります。「採択されなければホームページは作らない」という計画だと、不採択のたびに事業が止まってしまいます。補助金がなくてもやる価値のある投資を、補助金で少し楽にする。この順番が健全です。

書類仕事の重さを見込んでおく。経営計画の作成、見積書の取得、実績報告、検収の書類。私は化学メーカーで研究開発の外部発注を主導していた時期があり、予算取りと検収にまつわる書類仕事の重さは身に染みていますが、補助金にはあれに近い緊張感があります。本業の傍らで進めるには相応の覚悟が必要です。だからこそ、商工会議所などの伴走支援を遠慮なく頼ってください。

「補助金があるから作る」にしない。順番が逆になると、だいたいうまくいきません。ホームページで何を達成したいのかが先で、補助金はその投資を少し軽くしてくれる手段です。作る目的の整理がまだの方は、富士市でホームページ制作を依頼する前に知っておきたいことから始めてみてください。

まとめ:補助金は「目的」から逆算して選ぶ

要点を振り返ります。

  • 販路開拓のためのホームページ制作なら小規模事業者持続化補助金。第20回は11月5日受付開始、様式4の発行締切は12月4日。ウェブサイト関連費は上限30万円(税込)で単独申請不可
  • 「IT導入補助金でホームページ」は誤解。現在は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、対象は登録済みの業務ITツールのみ
  • システム開発・DXなら、国の制度に加えて静岡県の収益力向上補助金、富士市のDX推進補助金という選択肢がある
  • 交付決定前の発注NG、締切厳守、書類仕事の重さ。ルールを知らずに動くと、せっかくの補助金を受け取れない

申請手続きそのものの相談先は、富士商工会議所や富士市商工会、市の産業支援課といった支援機関が本職です。一方で「補助金を使って、どんなホームページやシステムを作るべきか」は制作側の領分。補助金申請に必要な見積書の作成も含めて、私のような制作者が力になれる部分です。

補助金を使う・使わないに関わらず、「何のために作るのか」から一緒に整理したい方は、お問い合わせからお気軽にどうぞ。

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