ホームページリニューアル、失敗しない依頼の仕方|制作会社に伝えるべきこと
はじめに
「思っていたのと違うものができた」
「制作会社とのやり取りがストレスだった」
「何度も修正が発生して、予算も期間もオーバーした」
ホームページ制作でこうした経験をされた方は少なくないと思います。
原因はどこにあるのでしょうか。制作会社の力量不足? もちろんそれもあり得ますが、実は「依頼の仕方」に問題があるケースも多いのです。
私は現在、Web制作・開発を請け負っていますが、以前は化学メーカーで研究開発の仕事をしていました。設備導入やシステム開発で、外部に依頼する側の経験もあります。
この記事では、発注側・制作側の両方を経験した視点から、「失敗しない依頼の仕方」についてお伝えします。
この記事のまとめ
- ⚡依頼がうまくいかない原因の多くは「目的の曖昧さ」「社内調整不足」「期待値のズレ」
- ⚡目的を整理すると「実はLPの方が最適だった」と分かることもある
- ⚡決裁者と現場の温度差を事前にすり合わせておかないと、途中でひっくり返る
- ⚡「ライティングは誰がやるのか」など、曖昧になりがちな項目を事前に確認する
- ⚡制作会社に丸投げせず、「一緒に作る」姿勢がプロジェクト成功の鍵
依頼がうまくいかない3つのパターン

まず、プロジェクトがうまくいかない典型的なパターンを整理します。
1. 目的が曖昧
これが一番多いです。
「ホームページが古くなったからリニューアルしたい」——これだけでは、制作会社は何を提案していいか分かりません。
目的が曖昧なまま進めると、ミーティングのたびに言うことがブレます。「やっぱりこうしたい」「前に言ったのと違うけど、こっちの方がいい」という変更が繰り返され、工数が膨らんでいきます。
制作会社としても「何を目指しているのか分からない」状態では、的確な提案ができません。結果として、どちらも疲弊するプロジェクトになってしまいます。
2. 社内調整ができていない
「現場の担当者はA案がいいと言っているのに、決裁者がB案を選ぶ」 「プロジェクト終盤で、今まで出てこなかった役員が意見を言い始める」
こうした社内の足並みの乱れは、プロジェクトを大きく混乱させます。
私が化学メーカーで研究開発をしていた頃、設備導入だけでなく、外部へのシステム開発依頼やハードウェアの設計・開発委託など、さまざまなプロジェクトを開発チームリーダーとして経験しました。現場としては「この新しいメーカーの方が性能がいい」「このベンダーの技術力が高い」と思っても、決裁者は「過去に取引実績のある会社の方が安心」と考える。この温度差を埋めるのに苦労した記憶があります。
Web制作の発注でも同じことが起きます。現場は「デザインがいい会社に頼みたい」、決裁者は「安くて実績のあるところ」を求める。この認識のズレを事前にすり合わせておかないと、プロジェクト途中で方針がひっくり返ることになります。
3. 期待値のズレ
「これもやってくれると思っていた」
プロジェクト終盤でこの言葉が出てくると、お互いに不幸です。
よくあるズレの例を挙げます。
- ライティング:「原稿は御社でご用意ください」と伝えていたつもりでも、発注側は「取材して書いてくれるもの」と思っていた
- 写真撮影:「素材は支給」と書いてあったのに、「撮影も込みだと思っていた」
- 修正回数:「何回でも直してもらえると思っていた」が、実は2回までだった
- SEO対策:「作れば検索で上位に出ると思っていた」が、SEOは別料金だった
- 公開後のサポート:「何かあれば対応してくれると思っていた」が、保守契約を結んでいなかった
見積もりに含まれているもの、含まれていないものを明確にしておくことはもちろんですが、「当然やってくれるだろう」という思い込みがないか、お互いに確認することが重要です。
依頼前に整理しておくべきこと
では、制作会社に依頼する前に、何を準備しておけばいいのでしょうか。
目的
最も重要なのは「何のためにリニューアルするのか」です。
- 問い合わせを増やしたい
- 採用エントリーを増やしたい
- 会社の信頼性を高めたい
- 新しいサービスを告知したい
- 古い情報を整理したい
目的が複数ある場合は、優先順位をつけてください。すべてを同時に達成しようとすると、どれも中途半端になります。
ターゲット
誰に見てもらいたいサイトなのかを明確にします。
- 新規取引先(BtoB)
- 求職者
- 既存顧客
- エンドユーザー(BtoC)
ターゲットによって、デザインのトーン、掲載すべき情報、導線設計がすべて変わります。
社内合意
決裁者は誰か、その人の意見は確認できているか。関連部署(営業、人事、製造など)の要望は聞いているか。
これを怠ると、後で「聞いていない」「私はそうは思わない」という声が出てきます。
特に採用サイトの場合、人事部門だけでなく、実際に面接を担当する現場の意見も聞いておくべきです。
素材・原稿の準備体制
写真、テキスト原稿、ロゴデータなど、制作に必要な素材を誰が用意するのか。
自社で用意する前提なら、いつまでに準備できるのか。制作会社に依頼するなら、その分の費用は見積もりに含まれているのか。
ここが曖昧なまま進めると、スケジュールが遅延します。
「ホームページ」が最適解とは限らない
実は、目的を整理してみると「ホームページのリニューアル」が最適解ではないケースもあります。
例1:新サービスの告知が目的
「新しい加工サービスを始めたので、それを広く告知したい」
この場合、サイト全体をリニューアルするよりも、そのサービスに特化したLP(ランディングページ)を作り、リスティング広告で集客する方が費用対効果は高いかもしれません。
例2:採用強化が目的
「採用に力を入れたいのでホームページをリニューアルしたい」
本体サイトは現状維持のまま、採用特化のサイト(またはLP)を別で作った方がターゲットに刺さることがあります。求職者と取引先では、見たい情報も響くデザインも違うからです。
例3:展示会への出展を控えている
「展示会に出るので、その前にホームページを新しくしたい」
展示会までに間に合わせようと急いでフルリニューアルするより、展示会で配布する資料のQRコードから誘導する製品特化のLPを作った方が、現実的で効果的な場合があります。
こうした判断は、目的が明確でなければできません。「なんとなくホームページを新しくしたい」ではなく、「何を達成したいのか」を言語化しておくことで、最適な選択肢が見えてきます。
また、Webに限らず、SNS運用に注力する方が効果的なケースや、展示会・DMなどアナログな手法と組み合わせた方がいいケースもあります。「ホームページリニューアル」ありきではなく、目的達成のために何が最適かをフラットに検討することが大切です。
制作会社に伝えるべきこと
いざ制作会社に相談・見積もり依頼をする際、何を伝えればいいのか整理します。
目的・背景
「なぜ今リニューアルしたいのか」を伝えてください。
単に「古くなったから」ではなく、「問い合わせが減ってきた」「採用が苦戦している」「新しい事業を始めた」といった背景があるはずです。これを伝えることで、制作会社はより的確な提案ができます。
参考サイト
「こういう雰囲気がいい」という参考サイトを2〜3つ挙げてください。
できれば「好きなサイト」だけでなく、「こういうのは嫌」という例もあると、ミスマッチを防げます。
予算感・スケジュール
ざっくりでいいので、予算の上限と希望の公開時期を伝えてください。
予算を伝えるのは気が引けるかもしれませんが、「予算に合わせた提案」をするためには必要な情報です。100万円でできることと300万円でできることは違います。
社内の体制
窓口は誰か、最終決裁者は誰か、素材(写真・原稿)を誰が用意するのか。
制作会社にとって「誰と話せば物事が決まるのか」は非常に重要な情報です。
「含めてほしいこと」の明示
特にライティング(原稿作成)、撮影、SEO対策など、「これも含めてほしい」という要望は明確に伝えてください。
後から「含まれていると思っていた」というズレを防ぐためです。
私が発注側だったとき、こうすればよかったと思うこと
最後に、私自身が化学メーカー時代に発注側として経験したことから、反省を込めてお伝えします。設備導入、システム開発、ハードウェアの設計・開発委託など、さまざまな外部発注を経験する中で学んだことです。
有識者や関連部署に早めに意見を聞く
「あとで聞けばいいや」と後回しにすると、終盤で「そんな話は聞いていない」と言われます。システム開発のプロジェクトで、後から現場オペレーターの意見が出てきて仕様変更になったことがありました。設備導入でも、実際に使う人の声を聞かずに進めて、導入後に不満が噴出したこともあります。
Web制作でも同じです。営業部門、人事部門、製造部門など、サイトを「使う人」「見てほしい人に接している人」の意見は、早い段階で聞いておくべきです。
決裁者を早い段階で巻き込む
現場で詳細を詰めてから決裁者に持っていくと、根本的なところでひっくり返ることがあります。
「だいたいの方向性」が決まった段階で一度決裁者に確認を取っておくと、後戻りを防げます。
「使う人」と「決める人」の視点をすり合わせる
決める人(決裁者)と使う人(現場)の視点は違います。
決裁者はコストや会社の信用を重視し、現場は使いやすさや具体的な機能を重視する。どちらかの意見だけで進めると、後で不満が出ます。
両者の視点をすり合わせておくことが、プロジェクト成功の鍵です。
まとめ:依頼前チェックリスト

最後に、制作会社に依頼する前に確認しておきたい項目をまとめます。
目的の整理
- 何を達成したいか明確になっているか
- 本当に「ホームページリニューアル」が最適解か検討したか
- 目的の優先順位をつけたか
社内調整
- 決裁者の意見を確認したか
- 関連部署の要望を聞いたか
- 窓口担当を決めたか
伝える準備
- 参考サイトをピックアップしたか
- 予算の上限を把握しているか
- 希望の公開時期を決めたか
- 素材・原稿の準備担当を決めたか
- 「含めてほしいこと」を整理したか
これらが整理できていれば、制作会社との打ち合わせはスムーズに進むはずです。
次回は「制作会社の選び方・見極め方」についてお伝えします。相見積もりを取ったとき、何を基準に選べばいいのか。価格だけで決めるリスクは何か。発注側・制作側の両方の経験から解説します。
「どこまで準備すればいいか分からない」「目的の整理から相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。いきなり見積もりではなく、現状整理からお手伝いすることも可能です。